「家具や家財といった物を残すことで、家の価値が高くなるのでは?」と考える人もいるでしょう。
しかし、物が残っている家は、そのままでは売却できないことが一般的です。売却前に不用品などの残置物を処分する必要があります。
物が残っているからといって、家の売却価格に上乗せされることはなく、散乱としていることから内覧時の印象が悪くなるだけです。
ただし、物が残ったままでも売却できた事例もあり、物が残った家が売れるかはケースバイケースといえるでしょう。
家具や家財の処分については、不動産会社にも相談してみましょう。場合によっては、不動産会社側で処分を引き受けてもらえる場合もあります。
物が残ったままの家は基本的に売却できない
「家具や家財を残しておけば、家の価格にプラスして売れるのではないか」と考える人もいるかもしれません。
しかし、基本的には物が残ったままの家は売却できません。
多くの人が自分で購入した家具や家財を使いたいと考えており、中古の家具や家財を不衛生だと考える人もいます。
たとえ売却時に「無料で家具・家財を譲ります」と伝えても、処分する手間がかかるので、買主にとっては困るだけです。
買主から希望があった場合を除き、家具や家財などの不用品はすべて撤去するようにしましょう。
物を残しても家の売却価格には上乗せされない
家の売却時に、査定の対象となるのは家自体のみです。
物を家に残すことで、売却価格が上乗せされて決められることはありません。
例えば「この食器棚は20万円で購入したものなので、家の価格とあわせてその分も価格を上げてください」と伝えると、物件の取引そのものをキャンセルされてしまうでしょう。
もしも、高価な家財道具やブランド物が多く残っているのなら、値上げできる可能性もありますが、一般的な家具・家財を残すことで売却価格が上乗せされることはありません。
家に物を残しておいても内覧時の印象が悪くなるだけ
物件を売却する際は、内覧をおこなうケースがほとんどです。
もしも、内覧時に家具などの物が多く残っていると、買主に悪い印象を与えてしまいます。
買主は物が残っていない前提で家の購入を検討しているため、内覧時にはできるだけ物を減らすべきです。
まだ売り出し中の家に住んでいる場合は、最低限の家具を残す必要はありますが、できるだけ物は減らしておきましょう。
また内覧時に残置物を処分しておけば、室内を広く見せられるため、買主への印象も良くなるでしょう。
解体・更地にしてから売る場合も物は売主が処分する必要がある
家を解体する場合、家具・家財などの物が残っていると解体業者が作業をおこなえません。
家の解体をおこなう際、廃棄物は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」にわけられますが、一般廃棄物に分類される家具・家財は、基本的に解体工事会社では処分できません。
そのため、家を解体してから売却する場合でも、解体業者ではなく売主自身で物を処分しなければなりません。
解体工事を依頼する日までに、家にある家具・家財は処分しておきましょう。
物が残っていても家を売却できた事例と注意点
これまで説明した通り、物を残したままの物件は基本的に売却できません。
しかし、買主との交渉によっては物を残したまま、家を売れるケースもあります。
以下のような家具・家電であれば、家とセットで売れる可能性があります。
- タンス、食器棚などの大型家具
- エアコン、照明などの壁に埋められている家電
ただし、物を残したまま家を売れるケースでも、物の価値が売却価格に上乗せされることはありません。
この項目では、物が残ったままでも家を売却できた事例を紹介します。
大型の家具が残ったまま売却できた事例
Aさんは家具・家財が残っている物件を売却することにしました。
テレビや冷蔵庫などの家電は容易に処分できましたが、壁に固定されている食器棚は処分が少々面倒でした。
そこで「食器棚が残っているが、処分した方がよいか?」を買主へ相談したのです。
その結果、食器棚が綺麗な状態で管理されていたおかげで、買主も「そのままで構わない」と了承したので、そのまま家を引渡すことになりました。
買主側としても、食器棚を購入せずに済んだため、お互いに満足のいく結果となりました。
エアコン・照明が残ったまま売却できた事例
Bさんは相続した物件をそのまま売却しようと考えました。
ほとんどの家具・家財は価値がなかったため処分しましたが、照明やエアコンは壁に埋め込まれているため、取外しが困難でした。
そのことを不動産業者に相談すると「そのままでも売却できる」とアドバイスを受けました。
照明やエアコンを設置するには、費用や手間がかかるため、残しておいてもメリットに感じる買主もいるのです。
売却前にエアコンのクリーニングをおこない、綺麗にしてから売却することで、買主にも喜ばれる結果となりました。
物を残す場合は「契約不適合責任」に注意しよう
事例のように、取外しにくい大型家具や、エアコン・照明といった壁に埋められている設備であれば、物件に残したまま売却できる可能性があります。
ただし、物を残したまま売却する場合は「契約不適合責任」に注意しましょう。
契約不適合責任とは、品質不良や数量不足などの不備があった際に、売主が買主に対して負うべき責任のことです。
残置物が故障していたり不具合がある場合、それを告知せずにいると、契約不適合責任を負わねばなりません。
もし買主から訴えられてしまうと、損害賠償請求に発展して、裁判になる恐れもあります。
物を残したまま家を売る場合、残置物の状態について、しっかり買主へ説明しましょう。
家を売る前に不用品は処分するのがおすすめ
これまで説明した通り、基本的に物を残したまま家を売ることはむずかしいです。
ですので、不用品が残っている家を売却する場合、不用品は事前に処分しておくことをおすすめします。
不用品を処分するには、以下のような方法があります。
- フリマアプリやオークションサイトへ売却する
- リサイクルショップに買取してもらう
- 回収業者へ依頼して処分してもらう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フリマアプリやオークションサイトで売却する
不用品に実用的なものがある場合、ネットオークションやフリマアプリで売却できないか検討してみましょう。
自分にとっては不用な物だったとしても、高く値段がつく可能性もあります。
ただし、ネットオークションやフリマアプリの場合は、発送作業や購入者と取引をおこなう必要があります。
面倒だったり手間がかかる場合は、一括で処分する方がよいかもしれません。
また、ネットオークションやフリマアプリへ出品しても、必ず売れるわけではない点にも注意しましょう。
リサイクルショップに買取してもらう
フリマアプリやオークションサイトで売却できない不用品は、リサイクルショップに買取してもらいましょう。
廃品回収や粗大ごみとして処分する場合は、お金を支払う必要がありますが、リサイクルショップなら不用品を買取してもらえます。
とくに、骨董品や家具などは買取してもらえる可能性が高いです。
ただし、汚れていたり古すぎる物は、値段がつかず買取拒否されることも多いので、他の方法で処分する必要があります。
売却できない不用品は回収業者へ依頼して処分しよう
フリマアプリやオークションサイト、リサイクルショップでも売却できない場合、残地物を処分する必要があります。
家具・家財道具を処分するには、専門の回収業者へ依頼するとよいです。
不用品処理の回収業者であれば、家からの運搬から処分までまとめて依頼できます。
回収業者に依頼する際は、複数の業者に見積もり依頼して、もっとも条件のよい業者を選ぶとよいでしょう。
不用品の処分にかかる費用相場は約12~50万円
家にある不用品をすべて処分する場合、かかる費用の相場は以下のとおりです。
間取り | 値段 |
---|---|
1R・1K | 30,000円~80,000円 |
1DK | 50,000円~120,000円 |
1LDK | 70,000円~200,000円 |
2DK | 90,000円~250,000円 |
2LDK | 120,000円~300,000円 |
3DK | 150,000円~400,000円 |
3LDK | 170,000円~500,000円 |
家の大きさや処分する物にもよりますが、不用品の処分にかかる費用は15~50万円程度が相場です。
処分する物品を減らせば、処分にかかる費用も少なくて済むので、オークションサイト・フリマアプリ・リサイクルショップへ売却して、なるべく不用品を減らしてから処分するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、物が残っている物件を売却する方法を紹介しました。
基本的に物が残ったままの家は売却がむずかしく、不用品を処分してから売却する必要があります。
ただし、食器棚やタンスなど「大型の家具」や、エアコンや照明など「建物の設備」であれば、家に残したまま売却できる可能性があります。
また売却できるケースでも「契約不適合責任」に注意して、物件に残っている設備について、故障の有無などを正しく把握しなければなりません。
とはいえ、物を残したまま家を売却できるケースは少ないため、基本的に家具や家財は処分するべきです。
不用品が残っている場合、ネットオークションやリサイクルショップなどに売却して、現金化する方法をおすすめします。
