共有敷地の売却は共有者全員の同意が必要?売却先別の価格相場も解説!

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敷地のみ共有不動産として所有している場合、その共有敷地を売却したくても「他人の建物があっても売却できるのか」「どれくらいで売れるのか」と気になる人も多いでしょう。

結論からいうと、建物の所有権をもたない共有敷地であっても、売却は可能です。

ただし、売却先によって必要な手続きや、売却価格の相場も変わります。

高く売るなら、敷地をまるごと建物所有者に売却する方法がよいでしょう。しかし、共有名義の不動産は、そもそも共有者全員の同意がなければ売却できません。

共有者と敷地売却で揉めているのであれば、自分の持分だけ売却することも検討しましょう。共有持分専門の買取業者であれば、持分だけでも高額かつスピーディーな売却が可能です。

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目次

建物と所有者が異なる共有敷地の売却は可能

建物の所有権をもたず、敷地のみ共有不動産として所有している場合でも、敷地の売却は可能です。

ただし、共有敷地の売却は共有物の変更行為にあたるため、共有者全員の同意が必要です。

登記事項証明書に持分権者として記載されている人全員の同意を得る必要があり、その持分権者が亡くなっている場合には相続人を探して同意を得なければなりません。

連絡が取れない共有者がいる場合、自分で対応しようと思ってもなかなかうまくいきません。

そういったときには、司法書士や弁護士などの専門家に相談して共有者の特定や連絡、売却の同意をもらうなどの対応を代行してもらうことをおすすめします。

また、共有者の同意を得られない場合でも、自分の持分であれば自分の意思のみで売却できます。共有敷地全体の売却が難しいときには、持分のみの売却を考えてみましょう。

共有敷地を売却する方法の選択肢は6つ

共有敷地を売却する方法としては、「敷地全体を売却する方法」と「自分の持分のみを売却する方法」があります。

それぞれの方法で、手続きの進めやすさや査定額が異なりますので、ご自身の状況やニーズに合わせて選ぶことになります。

1.敷地全体を建物の所有者に売却する方法

1つ目は、敷地全体を建物の所有者に売却する方法です。

建物の所有者と敷地の所有者が異なるということは、建物の所有者と賃貸借契約書を交わしているはずです。

この場合の権利関係は、建物の所有者が借地権をもっており、敷地の所有者が底地権をもっています。

借地権者は建物を増築・改築したり、売却したりする際に底地権者の承諾を得なければなりません。多くの場合には、承諾と一緒に承諾料も発生します。

しかし、借地権者が敷地を購入すれば所有権を得られるので、自由に増築・改築・売却ができるようになります。

このように、建物の所有者が共有敷地を購入するメリットは大きいです。

とはいえ、敷地の購入には多額のお金が必要です。こちらから敷地購入の提案をしても、相手が資金を準備できない場合もあるでしょう。

売却を提案するおすすめのタイミングは、建物の所有者から増築・改築の相談があったときです。

まとまったお金を準備しようとしている上、承諾をもらう手続きに面倒さを感じている可能性もあるので、敷地を購入するメリットを強く実感しやすい状態であることが多いでしょう。

また、敷地の購入を提案する際には、スムーズに話を進めやすくするために、不動産会社を間には挟むとよいでしょう。

なぜなら、お互いに見知った関係だったとしても金銭がからむと余計なトラブルに発展し、話がまとまらないかもしれないからです。

また、売買契約に合意すれば後の手続きは不動産会社が手伝ってくれます。売買契約書を作成や、売却代金の決済と所有権移転登記、重要事項説明書の用意などを不動産会社が準備してくれるので手間を省けます。

共有敷地の売却に必要な書類についても不動産会社から案内があるはずなので、それらの書類は自分で準備しましょう。

ちなみに、共有敷地の売却では「売買契約書を交わすとき」と「所有権移転登記をおこなうとき」の計2回、共有者全員の立ち会いが必要です。

仕事や家庭の都合で立ち会いが難しい場合には、代理人を立てることもできます。その場合には忘れずに委任状を作成しておきましょう。

2.敷地全体を不動産投資家に売却する方法

2つ目は、共有敷地全体を不動産投資家に売却する方法です。建物の所有者へ売却できなかった場合はこの方法を取りましょう。

建物と所有者が異なる共有敷地のみを取得しても、自由に土地を利用できるようにはなりません。そのため、建物の所有者以外が共有敷地を購入するメリットがないように思われるかもしれません。

しかし、建物と所有者が異なる共有敷地のみを取得しても「地代収入」というメリットがあります。

地代は底地として建物の所有者に貸し出している限り、安定して得られる収入です。マンション経営のように空室リスクが発生する心配もありません。

借地権者が建物を取り壊ししまうと賃貸借契約はなくなるので地代収入もなくなりますが、そうなっても自由に使える土地が残ります。

借地権付の土地よりも完全所有権の土地を売却する方が、簡単かつ売却価格も高くなります。転売すれば、借地の状態で購入したときより高く売れるでしょう

したがって、不動産投資家にとっては損を出しにくい取引となるので、底地投資したい人は比較的見つけやすいといえます。

そのような投資家の情報は、不動産会社が把握しているはずです。

とくに、借地権や底地の取扱い実績が豊富な不動産会社は多くの情報をもっていることが期待できるので、売却の仲介を依頼するときにはおすすめです。

3.敷地全体を買取業者に売却する方法

3つ目は、共有敷地全体を買取業者に売却する方法です。

建物の所有者に売却を断られたときだけでなく、できるだけ早く現金化したい場合におすすめの売却方法です。

買取業者への売却は早ければ1週間以内に成立し、1ヵ月程度で手元に現金が入ります。

その理由は「買取業者が直接買い取るため」であり、売却価格も買取査定で提示された金額なので、売却活動・売買条件の交渉にかかる時間がほとんどないからです。

さらに、買取業者は現金で買い取るので、ローン審査の結果を待つ期間もありません。

そのため、共有敷地の売却について共有者全員の同意を得られたら、速やかに現金化までおこなえます。

買取業者への売却の場合、売却価格は査定価格から変更になることはほとんどありません。

ちなみに「買取査定を受けたらその業者へ必ず売却しなければならない」というルールはないので、多少の時間と手間はかかりますが、複数の買取業者へ査定を依頼し、そのなかから売却価格と売却条件がよい買取業者を選んで売却するとよいでしょう。

買取業者へ売却するデメリットは、売却価格が建物所有者へ売却する場合よりも大きく下がることです。売却価格相場については、のちほど詳しく解説します。

4.敷地の持分を他の共有者に売却する方法

自分の持分のみであれば、他の共有者の同意なしで売却可能です。

持分の売却先は、主に下記の3者になります。

  • 他の共有者
  • 建物の所有者
  • 買取業者

上記のうち、最初に検討したい売却先は「他の共有者」です。

共有敷地全体の売却ができないということは、

  • 売却に反対する共有者がいた
  • どうしても連絡が取れない共有者がいて同意を得られなかった

のどちらかになりますが、多くの場合は「売却に反対する共有者がいた」が理由になります。

つまり、売却ではなく「共有敷地を所有しておきたい」と考えているので、その共有者に持分の購入を提案すれば受け入れてくれる可能性が高いというわけです。

ただし、他の共有者へ持分を売却する際には、売却価格に注意が必要です。

共有敷地の共有者は親戚関係であることが多いのですが、身内だからといって売却価格を低くしすぎると、時価からの差額分を贈与したとみなされて、買主に贈与税が課税される可能性があります。

どのくらいの価格で「低すぎる」とする明確な基準はないため、売却価格については不動産会社へ相談しながら決めることをおすすめします。

5.敷地の持分を建物の所有者に売却する方法

共有敷地の持分を建物の所有者に売却するという方法もあります。

建物の所有者からすれば、自分が敷地の共有者の1人となるので、その持分だけ建物を増改築する際の承諾料の負担が小さくなります。

そして、共有敷地は「共有者1人による共有不動産(土地)の使用」という状態になります。

そうなれば、共有者の1人として共有不動産の使用方法を再度協議し、単純に借地権を設定していた土地賃貸借契約から、より有利な条件に変更できる可能性もあるでしょう。

このようなメリットがあるため、建物の所有者であれば、共有敷地の持分のみであっても購入してくれることを期待できます。

また、持分のみであれば敷地全体よりも売却価格は低くなるので、建物の所有者が資金を準備しやすい点もメリットです。

6.敷地の持分を買取業者に売却する方法

他の共有者も建物の所有者も敷地の持分を購入してくれない場合、買取業者への売却を検討しましょう。

共有敷地全体を売却するときと同様に、理論的には不動産投資家への売却も可能ですが、持分のみでは利回りが低く、不動産投資家のメリットが小さいことから現実的ではありません。

そのため、共有敷地の持分のみの場合、第三者への売却は買取業者への売却がおすすめです。

共有持分専門の買取業者であれば、共有持分を取り扱うノウハウと顧客ネットワークがあるため、高額・スピード買取が期待できます。

【売却先別】共有敷地全体を売却したときの価格相場

売却相場は売却先によって異なり、最も高くなるのは、建物所有者へ売却するときです。

反対に、最も低くなるのは買取業者へ売却するときです。建物所有者へ売却する価格の1/4~1/2になることもあります。

なぜこのような価格差になるのか、どのように売却価格が算出されるのかを説明していきます。

建物所有者の価格相場:更地価格に底地権割合をかけた金額

借地契約を結んでいる敷地は、借地人(=建物所有者)は「借地権」を、敷地の所有者or共有者は「底地権」をもっています。これらの権利も売買が可能です。

底地権を売却する場合、価格は更地価格に底地権割合(1-借地権割合)をかけた金額が相場です。

借地権割合は立地によって異なり、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

例えば、借地権割合が60%、更地価格5,000万円の共有敷地を借地人に売却する場合で考えます。

このときの底地権割合は(100%-60%=40%)ですので、更地価格の5,000万円にかけて、2,000万円が売却価格の相場です。

この価格を目安に建物所有者と交渉すると、お互いに納得感ある価格で取引できるでしょう。

不動産投資家の価格相場:地代収入に応じて算出

不動産投資家への売却価格は、地代収入に応じて算出します。専門的には「収益還元法」と呼ばれる不動産鑑定の方法です。

対象の不動産が将来どのくらいの収益を生み出すかを基準に算出されます。おおまかには下記の式で計算が可能です。

【売却価格=1年間の利益÷近隣の投資物件の平均実質利回り】

例えば、1年間の利益が50万円、平均実質利回りが5%であれば「50万円÷5%=1,000万円」 が売却価格として妥当であると計算できます。

近隣の投資物件の平均利回りについては不動産会社に聞いてみてください。投資物件を多く扱っているところであれば、より正確な情報を教えてもらえるでしょう。

また、そのような会社であれば不動産投資家への広いネットワークをもっており、共有敷地の売却を依頼すれば迅速に不動産投資家を見つけてくれることも期待できます。

買取業者の価格相場:更地価格の10%~20%程度

買取業者へ売却する場合は、その会社が査定した価格にしたがいます。査定価格は業者によって異なりますが、おおむね更地価格の10%~20%です。

建物所有者へ売却する場合と比べて1/4程度の価格にまで下がります。

それだけ聞くと、買取業者に買い叩かれているような印象をもってしまうかもしれませんが、そうではありません。

買取業者は慈善事業ではないので、買取後にしっかりと利益を出す必要があります。

そのためには、

  • 地代を値上げして収益を増やす
  • 底地投資したい人を探して売却する
  • 建物の所有者に交渉して売却する
  • 建物を買い取って土地+建物の中古物件として売却する

などの方法がありますが、どれも人件費や広告宣伝費などお金と時間がかかります。

さらに、必ずしも買取業者が期待したとおりの利益が出るとも限りません。

そこで、買取業者は買い取ったあとに利益を出すためと、期待どおりに進まなかったとしても損失を小さくするために、買取価格を低めに設定します。

そのような理由を背景に算出される査定価格の相場が、更地価格の10%~20%です。

したがって、共有敷地を高額で売却したい場合に買取業者は売却先として向きませんが、すぐに現金化したい場合や買主がなかなか見つからない場合にはぴったりの売却先といえるでしょう。

マンション敷地売却制度が適用される場合は持分価格の4/5以上の同意で売却可能

「共有敷地」を所有するケースとして、分譲マンションも該当します。

分譲マンションの敷地は、部屋の区分所有者全員で共有している状態です。

そのため、分譲マンションの建替えや解体、敷地全体の売却には共有者全員の同意が必要ということになります。

上記のことから、大規模な災害でマンションの大部分が滅失していた場合でも、そのマンションを取り壊して敷地を売却するためには共有者全員の同意が必要になり、手続きを進めにくいという問題がありました。

そこで、被災したマンションに関して、区分所有者の大多数がマンションの取り壊しを望んでいるのであれば、その取り壊しを認めるのが適当とする「被災マンション法」が改正されました。

改正被災マンション法は平成25年6月26日に公布・施行され、持分価格4/5以上の同意によってマンションの取り壊し、敷地の売却ができるようになっています。

また、築年数が古く、旧耐震基準に基づいているなど地震に対する安全性が確保されていないとされるようなマンションの場合には「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の適用を受けて「マンション敷地売却制度」を利用できる場合があります。

この制度を利用するには一定の要件を満たす必要がありますが、利用できれば、改正被災マンション法で定められていることと同様に、共有者全員ではなく持分価格4/5以上の同意で売却可能です。

マンション敷地売却制度が適用される条件

マンション敷地売却制度が適用されるのは、特定行政庁に「要除却認定マンション」と認められた場合です。

具体的な要件は、次のとおりです。

  • 耐震性が不足していること
  • 火災に対する安全性が不足していること
  • 外壁の剥落等により危害を生じる恐れがあること
  • 給水、排水、その他の配管設備の損傷、腐食その他の劣化等により著しく衛生上有害となる恐れがあること
  • バリアフリー性能が確保されていないこと

なお、要件は追加・変更される場合があり、上記は令和2年6月に公布された法律に基づくものです。

そのため、申請を出す前に要件を満たしているか確認するようにしてください。

敷地売却の流れ

マンション敷地売却制度に基づいて売却する際の流れを解説します。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 要除却認定マンションとしての認定
  2. 買受計画の認定
  3. マンション敷地売却決議
  4. マンション敷地売却組合の設立認可
  5. 反対区分所有者への売渡し請求
  6. 分配金取得計画の決定・認可
  7. 組合がマンションと敷地の権利を取得
  8. 買受人にマンションと敷地を売却

買受計画というのは、マンションの買受け・除却・現入居者への代替住居の提供・あっせんの計画です。通常、買受人となるディベロッパーが申請します。

そして、マンション敷地売却決議では、売却の相手方、売却代金、分配金の算定方法を決議します。

持分価格の4/5以上の賛成で決められることが、一般的な共有不動産の売却と異なるポイントです。

その後、マンション敷地売却の合意者の3/4以上の合意に基づいて、事業主体となるマンション敷地売却組合を設立します。

組合は反対区分所有者へ売渡し請求し、時価で反対区分所有者の権利を買い取ります。

また、区分所有者・借家人は期日までに分配金・補償金を受け取った上で、マンションを明け渡さなければなりません。

権利消滅期日に区分所有者がもっていた個別の権利が組合に集約され、一括して買受人にマンションと敷地を売却します。

以上で共有敷地の売却は完了です。

なお、区分所有者は再建されたマンションに再入居することも、他の住宅に引っ越しすることも自由です。

まとめ

建物の所有権をもたず、敷地のみ共有不動産として所有している場合でも共有敷地であっても、売却は可能です。

共有者全員の合意があれば敷地全体を売却でき、売却先によって価格相場も異なります。

現金化のスピードを重視するなら買取業者へ売却する方法が非常に早いので、すぐにまとまった資金が必要な場合にはおすすめです。

また、敷地全体の売却について共有者全員の同意が得られなかったとしても、自分の持分のみであれば他の共有者の意思に関係なく売却できます。

ただし、持分のみを取得しても建物所有者や他の共有者のような当事者でなければメリットは小さく、売却価格が低くなります。

そのため、スムーズに共有敷地を売却するために、権利関係や共有者・建物所有者の意向などを見極め、慎重に売却方法を選ぶことが大切です。

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