「不動産を生きているうちに売る」。今、このような考えを持つシニア世代が多くなっています。
理由は、子世代が独立し夫婦二人だけの家になった今、将来的には誰も住む予定がない家を残すことは、子世代に苦労を掛けてしまうとだけと考える風潮があるからです。背景には、日本全国で増えている空き家問題に起因する、実家の相続と相続後の維持管理の難しさがあります。
では、不動産を生きているうちに売ることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?この記事では、不動産を生きているうちに売却を行った方が良いシチュエーションや、メリットとデメリットの比較、実際に生きているうちに売却する方法などについて解説します。
生きているうちに家を売却したほうが良いケースは、主に空き家になる可能性が高いとき
生きているうちに家を売却した方ほうが良いケースは、主に空き家になる可能性が高いときです。
他にも、以下のシチュエーションの場合には、生きているうちに売却を考えたほうが良いケースになります。ここでは、3つのケースを取り上げ、各々詳細に解説していきます。
- 子供が全員独立し、実家に戻る予定がなく、将来的に空き家になる可能性が高いとき
- 相続が難しいとき
- 売却資金で高齢者施設などに入りたいとき
①子供が全員独立し、実家に戻る予定がなく、将来的に空き家になる可能性が高いとき
子世代が独立し、各々が世帯を持つようになれば、生活の拠点を簡単に変えることはできません。子供の通学、配偶者の仕事、自らも普段より仕事をしている以上、実家に帰るために仕事を辞めることや、学校を転校するなどは現実的ではないでしょう。よって、子世代の家族が確固たる生活拠点を構えているケースでは、どちらか一方の実家に帰るという選択肢はなかなかありません。
なお、これまでの日本では、子世代にせめて生まれ育った土地と建物くらいは残してあげたい、と思う親が大半でした。それにしたがい子世代は、あたりまえのように実家を相続してきたのですが、自らの生活拠点と実家との距離が遠方であるほど管理が難しく、やがて家を放置してしまうケースが多くあります。
今の空き家問題の根源はこのあたりにあり、徐々に親世代も誰も住まない家を残すことに疑問を呈する人が多くなってきました。よって、空き家になることが確実な時には生きているうちに売却するほうが、子世代にとっても余計な維持管理費用を負担することや、手間を掛けることがなくなります。
②相続が難しいとき
法定相続人が多いときや、相続人間の仲が悪いときなど相続自体が難しいときです。
このようなときは、仮に不動産を残したところで公平に分けるのは難しく、遺言を残すと余計にトラブルを引き起こす可能性があります。よって、相続が難しいときには現金化してしまった方がよいでしょう。
③売却資金で高齢者施設などに入りたいとき
家を処分することで、自らが亡くなった後に子世代が維持管理で苦労することはなくなります。また、親世代にとっては売却資金を手に入れることで新たな生活の拠点を手に入れることが可能です。その一つが、今各地で続々と作られている高齢者専用の施設に入居するための資金にしたいときです。
高齢者用の施設は、一人だけの生活や夫婦二人だけの生活に不安がある場合におすすめとなります。サービス付き高齢者住宅やシニア向けの分譲マンションでは、食事の提供サービスや安否確認、介護士が常駐し介護サービスを提供するなど施設によりさまざまなサービスがあります。
これらの施設に入居することで、子世代が介護する必要性や親世代も子に介護されることなく、施設内で安心して暮らせます。さらに、一般的な老人ホームなどに比べると生活の自由度が高いので、双方にメリットがあります。
相続後に空き家となることで維持管理が大変になる
少し先述でも触れておりますが、相続後に空き家になることで家の維持管理は大変です。例えば、家は人が住んで定期的に手入れをしなければ、あっという間に建物は傷んでしまいます。よって、1か月に1度は家の中の通風作業、水回りの通水や家屋内の清掃、庭があれば雑草の除去、ポストの集配物の撤去などが必要となります。
また、定期的に家の中や外観をチェックすることで、外壁のひび割れや破損、内装の傷み具合などを確認できます。これにより、定期的に補修などを行うことで家は長持ちしていきます。
しかし、この維持管理を怠ると外壁のひび割れ部分から雨水が侵入するなどし、今度は梁や柱の木造部分の腐食が起きることや、家屋内の設備も劣化し生活自体ができなくなってしまいます。生活ができないくらいになると、やがて補修することもなく家はどんどん朽ちていき、数年経過すると廃屋のような家になってしまいます。
このような空き家は住むこと自体ができず、また解体して更地にすると解体費にお金が掛かるのと固定資産税が上がってしまうので、止む無く放置するケースが増えています。
空き家が増えている原因は?
空き家が増えていく原因は、時代とともに進んだ核家族化があります。昭和の家族構成は、祖父母、父母、子供の3世代同居が当たり前でした。結婚してもどちらかの家に嫁ぐ時代であったので、その土地の家は代々受け継いでいくのが当然のような風潮となっていました。
しかし、現在では実家から子世代が独立するのが主流となり、結婚しても家に嫁ぐというケースは少なくなっています。また、交通網の発達により田舎から都会に出やすい環境となり、独立した子が都会で世帯を構えるケースが多くあります。
これにより、田舎の実家を継ぐケースが徐々に少なくなってきたことから、親世代が亡くなった以後、空き家になるケースが増加しています。
現在、日本全体でも8件中1件は空き家であると言われており、地方都市では空き家率が20%を超えている地域もあります。空き家は先述による原因に加えて、日本固有の新築住宅への依存度と大量供給、中古住宅の取引件数の少なさも空き家問題に拍車を掛けることになっています。
生きているうちに家を売るメリット・デメリット
生きているうちに売却するにあたり気になるのが、メリットとデメリットです。売却を決断するには、双方をしっかりと理解しつつ進める必要があります。ここでは、生きているうちに家を売るメリット・デメリットについて解説します。
生きているうちに家を売るメリット
まずは、生きているうちに家を売るメリットです。下記に4つ取り上げ、各々詳細を解説していきます。
- 終活がラクになる
- 家の維持管理費を負担することがなくなる
- 子世代が家の維持管理、売却処分に苦労することがない
- 売却した資金で充実した老後の生活を送れる
①終活がラクになる
まずは、家を生きているうちに売ることで終活がラクになります。
終活とは、自らが最期を迎えるにあたり身辺整理をすることです。近年の少子高齢化の時代では、周囲にあまり迷惑を掛けずに人生を終わるために事前に準備を進めておくことが、トレンドになりつつあります。
その中で、自らの財産については今後相続が発生することになります。特に不動産については、相続人間で公平に分けることが難しく、遺産相続で揉める要因になります。よって、予め売却してしまい現金化した方が分配しやすく、総じて相続がラクです。
また、家を生きている元気なうちに売却することで、要るもの要らないもの、相続させたいものや処分してよいものなどを仕分けし、いらないものを断捨離できます。また、動けるうちであれば引っ越しによる手間や各種手続きも問題なく完了できるので、親世代としてメリットは大きくなります。
さらに、いざ終活を始めるときに一番厄介なのが不動産と私物の処分となるので、予め済ませておくことでラクに進められます。
自宅の終活が必要な理由
では、自宅の終活がなぜ必要なのでしょうか?これについて、以下に2つの理由を挙げて解説します。
- A.問題の先送りをせず、空き家にしないため
- B.身辺整理を行い相続しやすくするため
A.問題の先送りをせず、空き家にしないため
まずは、問題の先送りをせずに空き家にしないためです。
空き家になる一番の原因は、住む予定のない家を相続させてしまうことになります。終の棲家として購入した家も、継ぐ人がいなければ空き家になる可能性は高いでしょう。自分がいなくなったときのことが容易に想像つくような状況であるにも関わらず、何も策を講じないのはもはや問題を先送りしているだけです。よって、空き家になることが分かっているのであれば、売却や譲渡等により処分することが先決となります。
B.身辺整理を行い相続しやすくするため
次に、身辺整理を行うことができ相続しやすくするためです。例えば、身辺整理をせずに相続となってしまった場合、相続人は遺品整理などを行い財産やそうでないもの、処分してよいものなどを仕分けする必要があります。
これらは素人では負担のかかる作業であるので、専門業者に依頼するケースも多く、それなりの費用が掛かります。また、残された家具や家電、日用品などは処分する必要があります。
つまり、相続する側に立てば、家を相続することで整理や処分などに、手間・労力・費用負担があり大変です。よって、相続がしやすいように予め身辺整理を行うことが重要となります。
②家の維持管理費を負担することがなくなる
二つ目のメリットは、家の維持管理費を負担することがなくなります。
真っ先にあがるのが固定資産税と都市計画税の負担です。また、築年数が経過した家であれば、屋根や外壁、内装やキッチンなどの水回りに傷みが生じます。住み続けるには、当然に補修や交換を行う必要があります。
早期に売却し手放すことで、これらの負担やメンテナンス等に悩む必要はありません。
③子世代が家の維持管理、売却処分に苦労することがない
三つ目は、子世代が家の維持管理、売却処分に苦労することがなくなります。
家を残すことで先述にて紹介したとおりに、子世代には維持管理の費用負担や手間、売却処分でも苦労を掛けることになります。これらを子世代にさせたくないのであれば、生きているうちに売却してしまうほうが得策と言えるでしょう。
④売却した資金で充実した老後の生活を送れる
最後に、売却した資金で充実した老後の生活を送れます。
売却資金は、住居費の他に旅行やレジャー、趣味など自由に使うことができます。なお、物を購入すると相続等が大変になるので、消費できるものに費やすのが良いでしょう。
生きているうちに家を売るデメリット
続いて、生きているうちに家を売るデメリットです。下記に3つ取り上げ、各々詳細を解説していきます。
- 次の住処を確保しなければならない
- 慣れない環境でストレスを感じることがある
- 売却には初期費用や税金など多額の費用負担がある
①次の住処を確保しなければならない
一つ目は、次の住処を確保しなければならないことです。
高齢者施設への入居は、多額の費用が掛かります。分譲であれば初期費用が数千万単位、賃料を支払う方式であれば毎月の賃料は高めのケースが殆どです。
また、民間の賃貸住宅では高齢者の入居を断られることがよくあります。よって、次の住処を賃貸住居で検討する場合には、直ぐに家が決まらないことがあります。これらのケースでは、UR賃貸住宅や県営・市営住宅などを確保するのが賢明です。
②慣れない環境でストレスを感じることがある
二つ目は、慣れない環境でストレスを感じることがあります。
今まで住み慣れた場所から引っ越すことで、これまで近所付き合いをしていた人と疎遠になることや、日常生活でよく利用していたスーパー・コンビニ・郵便局などが変わり生活のリズムが狂うことがあります。これら慣れない環境で新しく生活を始めることで、ストレスを感じてしまうリスクがあるでしょう。
③売却には初期費用や税金など多額の費用負担がある
三つ目は、売却には初期費用や税金など多額の費用が掛かることです。一戸建ての場合、売却に掛かる費用には下記のものがあります。
- 土地の測量費
- 解体費(更地にして売却する場合)
- 仲介手数料
- 所得税、住民税(譲渡所得が出た場合)
測量は、敷地の正確な広さを知るのに必要です。土地の価格は、土地単価×広さ(㎡)となります。測量は、敷地境界が曖昧で正確な土地の広さが不明であるとき、地価が高い東京都心部などで行うときが多くあります。土地の広さが間違っていることで、土地価格に大きく影響します。
なお、測量や解体費は土地の広さや立地条件等により、合わせると数百万単位の出費となるので、事前に纏まった資金を用意する必要があります。
不動産を生前売却する方法は不動産仲介
不動産を生前売却する方法は、不動産仲介がおすすめとなります。理由は、生前売却では基本売り急ぐ必要はなく、じっくりと時間をかけることも可能であるからです。
また、不動産仲介が一般的に浸透している売却方法であり、一番高値で売却できる可能性があることもおすすめする一つの要因となっています。ここでは、不動産の生前売却で不動産仲介を利用するメリットとデメリットについて、解説します。
不動産仲介を利用するメリット・デメリット
ここでは、不動産の生前売却で不動産仲介を利用するメリットとデメリットについて、解説します。
メリット
まずは、メリットになります。下記3つを取り上げ解説していきます。
- 高値で売れることがある
- 適正価格で売却できる可能性が高い
- 情報の拡散ができ、早期に売却できることもある
①高値で売れることがある
まずは、高値で売れることがあります。
不動産の市況は、大きな流れでいうと経済状況、小規模なものでいうと周辺物件の販売状況により変わります。また、一戸建てであれば角地で南向き、マンションであれば駅近や駅直結など、希少性の高い立地であればプレミア価格が付くこともあります。さらに、周辺に競合となる物件が少ないことで値崩れを避けることができ、高値売却が実現することもあります。
よって、不動産仲介ではこれら市況や周辺の競合物件の数、物件自体が持つ希少性等により高値で売却できます。
②適正価格で売却できる可能性が高い
次に、適正価格で売却できる可能性が高いことです。
先述のように高値での売却は難しいものの、しっかりと不動産会社の査定を受け、周辺相場に合わせた売値であれば、普通に売却できる可能性は高くなります。不動産会社の査定は、主に周辺の取引事例をもとに作成されるケースが多いので、「査定額=周辺相場に合わせた適正価格」ということができます。
また、不動産仲介では多くの買主の目に留まることで、適正価格で売却できる可能性を高めます。ここに、複数人の買主が現れれば競争が生まれ、適正価格よりも高くに売却できることもあります。
③情報の拡散ができ、早期に売却できることもある
最後に、先述と少し重なりますが、不動産仲介は情報を拡散できるので早期に売却できることもあります。多くの不動産会社の目に触れ、買主の候補となる内見者も募りやすい状況です。多くの内見者を集めることができれば、購入者を見つけられる可能性が高まり、結果として早期売却に繋がります。
デメリット
続いて、デメリットになります。下記3つを取り上げ解説していきます。
- 仲介手数料が掛かる
- 内見時に都度立会いが必要となる
- 売れない可能性がある
①仲介手数料が掛かる
まずは、仲介手数料が掛かることです。仲介手数料は、成約価格400万円超の速算式となりますが、下記にて計算できます。
〇仲介手数料=成約価格×3%+6万円+消費税(10%)
例えば、成約価格が3,000万円である場合の仲介手数料は、下記のように計算します。
3,000万円×3%+6万円+96,000円=1,056,000円
この場合の仲介手数料は、1,056,000円です。なお、上記仲介手数料は宅建業法で定められた最大値であるため、不動産会社によりパーセンテージが異なるケースがあります。
②内見時に都度立会いが必要となる
次に、原則居住中に売却活動をするため、内見がある度に立ち合いが必要となります。内見者がその不動産を気に入るには、綺麗な状態で見せなければなりません。
よって、内見がある当日は住居内を整理整頓、水回りなどは綺麗に掃除、庭があれば草木の選定や雑草の除去などを行います。また、内見はいつ入るかわからないため、長期の旅行やレジャーなどの外出はしにくいことがあります。
③売れない可能性がある
最後に、不動産仲介では売れない可能性もあります。
不動産の需要が少ない地域であることや、狭小地や変形地であることで使いにくい土地である場合に、売却が難しいケースもあります。このようなときは、別の対処法や売却方法を検討するしかありません。
不動産仲介でどうしても売れない場合に行う対処方法
立地等の要因で、不動産仲介ではどうしても売れないこともあります。このようなときには、別の対処法や売却方法を検討しなければなりません。下記に5つの方法を取り上げ各々解説していきます。
- 更地にして売却する
- 不動産会社を変える
- 買取りを検討する
- リースバックを利用する
- 土地活用する
①更地にして売却する
一つ目は、建物が残っている状態であれば更地にすることです。
更地にすることで、土地の形状や周辺との距離感や住環境などがわかり、その不動産を検討しやすくなります。また、土壌や地盤の調査もしやすく、購入を検討するには良い材料を集められるメリットがあります。
なお、更地にするには建物を解体しなければならないので、転居先を確保する必要があります。また、固定資産税も更地になることで約6倍に跳ね上がることや解体費の負担もあるので、更地にするときには注意が必要です。
②不動産会社を変える
二つ目は、不動産会社を変えることです。
不動産仲介で売買が成立するには、不動産会社の力量も影響してきます。売買に関する豊富な経験やノウハウがあることで、取引が進みます。
一方で、地域にあまり詳しくなく、売買に関する知識や経験が不足している不動産会社であれば、売却が進まないときの対処法を講じることができず、日時だけ過ぎてしまうことがあります。
よって、売却が進まないようであれば新しい不動産会社に変えてみることも、現状を改善する一手であると考えます。
③買取りを検討する
三つ目は、買取りを検討することです。
買取りとは、不動産会社が買主となり売買を進める方法です。買主が予め決まっているので内見の対応等はなく、直ぐに契約と引き渡し、現金化ができるのが特徴となります。
買取りを行うには、買取り専門の不動産会社に買取りの査定を依頼し、納得すれば買い取ってもらえます。よって、買取り利用時は買取り額を比較するために、複数社に査定を出すのがおすすめです。
なお、買取り価格は周辺相場の6割~7割程度になることが注意点となります。買取りは、不動産仲介での売却が難しく、早期に現金化したいときに利用するのがおすすめです。
④リースバックを利用する
四つ目は、リースバックを利用することです。
リースバックとは、不動産会社などに自宅を売却するものの、新たに買主と賃貸契約を結ぶことでそのまま家に住み続けることができる制度となります。新たな賃料発生はあるものの、所有に掛かるコストを削減し、且つ纏まった資金を手に入れることができます。
なお、リースバックでは複数社が購入に手を上げることがあります。売却金額が高ければその後の賃料も高め、一方売却金額が低ければ賃料も低めに設定されます。よって、リースバックによりどの程度の纏まった資金が必要であるのかをよく考え、売却先を判断しましょう。
⑤土地活用する
最後は、売却ではありませんが土地活用です。売れない土地を無理に売却するよりは、所有による固定資産税などのコストを賄えるようであれば土地活用もおすすめです。
下記は、代表的な土地活用の手法となります。なお、A・B・Cは予め更地にする必要があります。
A.駐車場
駐車場では、月極駐車場がおすすめとなります。理由は、設置にコストが掛からないからです。
なお、近隣に繁華街や商店街、大規模イベント会場など人が集まるような施設があるような立地にはコインパーキングがおすすめとなります。コインパーキングでは、土地一括借り上げ式を選択すればコストは一切掛かりません。
B.トランクルーム
トランクルームは、近年市街地などに設置されることが多くなりました。季節ものやレジャー関係のものなどを、収納するのに重宝されています。
トランクルームは、設置コストやその後の管理がラクというのが特徴です。屋外型であれば設置するのはコンテナとなりますが、コンテナは頑丈であるためメンテナンスは殆ど必要ありません。
また、雨風や災害などの影響も受けにくく、人が住んでいるわけではないので管理自体も日常茶飯事ではなく簡易です。なお、トランクルームにも土地一括借り上げ式があり、コストを掛けないで設置することもできます。
C.土地賃貸
土地賃貸は、更地の敷地をそのまま貸すだけです。よって、解体費以外に初期費用は掛かりません。土地賃貸は、幹線道路沿いなどに広い土地を所有していればおすすめです。
ファミレスやドラッグストアなどを展開する会社と事業用定期借地権契約を交わせれば、毎月土地の賃料を手に入れることができます。
D.戸建て賃貸
最後は、戸建て賃貸です。家が使える状態で、少々手を加えればまだまだ住めるという状態であれば、おすすめとなります。戸建て賃貸では、主にファミリーが借りるケースが多く、一度借り手が決まれば比較的長期間居住する傾向があり、経営が安定しやすいという特徴があります。
不動産を生前売却するときに注意すること
ここでは、不動産を生前売却するときに注意することについて、4つ取り上げて解説します。
- 契約不適合責任に気を付ける
- 税負担がある
- 初期費用が掛かる
- 査定は複数社に依頼する
①契約不適合責任に気を付ける
一つ目は、契約不適合責任に気を付けることです。
契約不適合とは、購入した物件が買主の思ったようなものでなかったときに、修補・代金減額請求・契約解除・損害賠償を請求できることになります。契約不適合を買主より受けないためには、事前に住宅診断を行うことで建物の状態を把握しておくこと、物件状況報告書に建物の状態を細かく記載し買主に伝えること、契約不適合を特約で免責にする、などの対策があります。
②税負担がある
二つ目は、税負担です。特に、譲渡所得が出た場合には所得税と住民税の負担があります。なお、3000万円の特別控除が使えれば節税となるので、利用できるかは税務署などに確認してみましょう。
③初期費用が掛かる
三つ目は、先述でも触れていますが多額の初期費用が掛かります。よって、纏まった資金を用意しておく必要があります。
なお、纏まった資金が用意できなければ買取りを選択するのがおすすめです。買取りでは、物件をそのまま買い取れるため、解体や不用品の処分、仲介手数料などの費用負担がありません。
④査定は複数社に依頼する
最後に、査定は複数社に依頼します。不動産の査定は複数社に出すことで、相場観を把握できます。これは、不動産仲介・買取りのどちらでも言えます。
また、複数社に依頼することで複数の担当者とコンタクトでき、売却完了までのストーリーやサービスなどを比較検討もできます。自らの希望に合致したところを選択できるので、複数社への依頼がおすすめです。
まとめ
不動産の生前売却を行うと、子世代が維持管理に費用負担をせずに済むことや、空き家問題の先行解決を図ることができます。よって、実家を継げる人がいない状態で将来的に空き家になるのであれば、生きているうちに売却することはメリットが大きいと言えます。
一方で、転居先の確保やコスト的に多額の費用が掛かることもあるので、利用には生前売却への理解と注意が必要です。
